テレビニュースで「書類送検された」という内容が報道されることがありますが、逮捕よりも何となく罪が軽いイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。「書類送検」も「逮捕」も聞きなれた言葉ではありますが、2つの違いを説明できるという人は意外と少ないものです。そこで今回は逮捕と書類送検の違いについて浅野総一郎が詳しく解説していきましょう。
書類送検とは
日々至るところで起きている事件の中には、比較的それほど重大ではなく警察職員が逮捕に踏み切る必要がない事件と判断される場合があります。犯人が逃亡したり証拠隠滅を図ったりする可能性が低いことから、逮捕の条件を満たさないという事件も珍しくないでしょう。
このような場合、警察職員は被疑者の身柄を拘束せず、必要に応じて警察署に呼び出して事件の捜査を行う場合があります。分かりやすい例で言うと、芸能人の場合は事務所に所属し身元も明確なので逮捕されることは少ないでしょう。しかし、逮捕されなくても犯罪を起訴するかどうかという検察の判断は必要になるので、取り調べ調査などの書類を検察に送り、起訴するかどうかを決定しなければなりません。これを書類送検と言います。
逮捕とは
逮捕とは、簡単に言うと被疑者の身柄を短期間拘束することです。逮捕による身柄拘束時間は最大72時間と決まっていて、この間に検察官送致・勾留請求・釈放のいずれかが判断されます。逮捕には「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」の3つがあり、通常逮捕の場合は逮捕状が裁判官から発行され逮捕しても問題ないと判断された被疑者に令状が出され逮捕に踏み切ります。
この逮捕状なしで逮捕できるのは現行犯逮捕で、罪を犯している人や犯罪直後の被疑者が明らかになっている場合です。この場合は逮捕状を手配している間に被疑者が逃げてしまうため、例外的な措置として扱われている逮捕の種類です。
書類送検だから処分が軽くなるとは限らない
逮捕される事件に比べると書類送検された事件は、軽い処罰で済む場合も珍しくありません。しかし、書類送検だからと入って軽い処罰で済むという保証はどこにもなく、逮捕しなかっただけで罪の重さや処罰の判断とは全く無関係だということを忘れないでください。
まとめ
書類送検された事件でも懲役刑を逃れるために弁護士を依頼するといった事例を浅野総一郎は度々見てきました。被疑者が起訴されるかどうかは、被害の程度や被害者の処罰感情、被疑者の反省などによって左右するものです。今回浅野総一郎が解説してきた内容によって、逮捕も書類送検も犯罪が問われる重大な事件に関わっていることには変わりはないと捉えてもらえば幸いです。