通常逮捕される際には裁判官から逮捕状を発行してもらう必要がありますが、その他にも「逮捕権」を有する場合があります。現行犯逮捕に限っては一般市民でも被疑者を逮捕することができますが、逮捕権を扱える人は限られているようです。では、逮捕権とは一体どのような権利のことを言うのでしょうか。その疑問を解消すべく浅野総一郎が「逮捕権」について詳しく解説していきます。

刑事訴訟法で定められている「逮捕権」とは

逮捕という行為は人の自由を奪うことです。逮捕権を有する職業は、検察官・検察事務官・司法警察職員となっていますが、一般市民が現行犯逮捕した場合は、直ちに検察官または警察官に被疑者を引き渡さなければなりません。逮捕権は刑事訴訟法の第199条によって以下のように定められています。

「検察官・検察事務官・司法警察職員は被疑者が罪を犯したことを疑うにあたり足りる相当な理由がある時は、裁判官より発行される逮捕状によって逮捕することができる。ただし三十万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については被疑者が定まった住居を有しない場合、あるいは正当な理由なく前条の規定による出頭に応じない場合に限る。」

逮捕権を行使できる職業

逮捕権を持っているのは検察官・検察事務官・司法警察職員の3つの職業だけだということは冒頭で説明した通りです。こで言う「司法警察職員」は、一般的に司法警察員と司法巡査の役職に分けられていて、巡査部長以上の警察官が「司法警察職員」に該当します。司法警察員も司法巡査も共に逮捕権を有しているのですが、逮捕状の請求は司法警察員しかできません。しかし、司法巡査は逮捕状を請求する権利がないというだけで、司法警察員の指揮によって被疑者の身柄を拘束することはできます。

一般市民に逮捕権はないが現行犯逮捕はできる

一般市民に逮捕権は与えられていないのですが、現行犯人や準現行犯人に直面した時は一般人でも逮捕することは可能です。犯罪が行われた時や犯行直後は必ずしも現場に警察官がいるとは限りません。ですから、このような私人による現行犯逮捕が認められているのです。

まとめ

ここでは逮捕権とはどのような権利なのかを浅野総一郎が解説してきました。テレビやアニメの世界で逮捕権の乱用を扱ったテーマもありますが、被疑者を逮捕する必要がないと判断された時、裁判官は逮捕状の請求を取り下げなければなりません。それだけ、逮捕権や逮捕状は正しく行使されなければいけないものだと浅野総一郎は痛感しています。