テレビのニュースで「逮捕」という言葉を聞くと「犯罪者」だと決めつけてしまう人がいますが、これは間違った認識です。また、逮捕することによって事件が解決したと思われることも多いのですが、これも誤った捉え方です。では、「逮捕」とは一体どのようなことを示すのでしょうか。今回は、逮捕の定義について浅野総一郎がまとめてみました。
逮捕の定義について
逮捕は犯罪に関する被疑者に対して強制的に身柄を拘束する行為のことを言います。刑事事件ではほとんど事件が発生した後に捜査を開始し、犯人と思われる人と逮捕するのが一般的です。日本国憲法第33条においては「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する逮捕状によらなければ、逮捕されない」という国民の権利を保護する条文があります。
憲法上では逮捕されないといった内容を定めていますが「司法官憲が発する犯罪を明示した逮捕状によって逮捕される」という内容にも解釈できるでしょう。ここで言う司法官憲とは司法に対する公務員のことを言いますが、憲法上では裁判官のこと言います。従って裁判官が逮捕状を発行すれば、罪を犯したと思われる人は「逮捕」されるということになるでしょう。
逮捕されたら有罪になるのは間違い
警察官や検察官によって逮捕された人は、犯罪を行ったと疑われる者つまり「被疑者」と呼ばれることになります。ですから逮捕された人は「有罪」であるという見方は間違いです。誤認逮捕という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、必ずしも罪を犯した人だけが逮捕されるとは限りません。
司法の考え方によっては「犯罪者」という呼び方は、裁判官が有罪判決を下した時に初めて与えられる呼び名であることを意味しています。逮捕された人は推定無罪の被疑者で起訴された後には被告人という呼び名に変わり、逮捕というのは刑事手続きの一種で、罪を犯したからといって逮捕しなければならないという規則もありません。
家族や知人が逮捕された時、その人をすぐに犯人扱いするのは間違った捉え方だと浅野総一郎は思います。逮捕されることによって制限されてしまう自由は確かにあるかもしれませんが、必ずしも有罪になるとは言い切れません。被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止するため、一時的に身柄を拘束する行為と認識してもらって良いでしょう。また、逮捕の意味は各国の制度によって大きく異なるということも指摘しています。